ウェルテル(コンサート版)

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ウェルテル(コンサート版) - ジュール・マスネ (1842 – 1912)

 

4幕のオペラ
エドゥアール・ブロー、ポール・ミリエ、ジョルジュ・ハルトマンによる台本、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』に基づく
1892年2月16日、ウィーンで初演
2025年7月23日、ベルリン・ドイツ・オペラで初演
14歳以上推奨。

 

上演時間:約2時間45分 / 1回の休憩
フランス語上演、ドイツ語および英語の字幕付き
公演の45分前にドイツ語でのイントロダクション

 

 

あらすじ

時と場所:1780年代の夏からクリスマス、フランクフルト郊外のヴェッツラー

 

第1幕 法官の家の庭

悲劇的結末を暗示するように管弦楽が重厚な前奏曲に続いて幕が開く。ある夏の夕暮れ、シャルロットの父親である大法官のはまだ7月だというのに、6人の子供たちにクリスマスキャロル(Noël! Noël!)の練習をさせている。大法官は大声で歌うなと注意するが、子供達はわざと大声を出し、ちゃんと歌おうとしないのでうんざりしてしまう。しかし「シャルロットも向こうで聴いているぞ」と怒られると、急に真剣に歌い出す。姉のシャルロットがこの家で亡くなった母親代わりの存在であることが示されている。そこに父親の友人シュッミットとジョアンが現れ、酒を酌み交わしながら、今夜開かれる舞踏会のことやアルベールやウェルテルの噂話など雑談をして先に出かけて行く。外のベンチには農夫に案内された若き詩人ウェルテルが現れる。ヴァイオリンのソロが繊細なウェルテルの性格を象徴するように奏される。ウェルテルは家から聞こえてくる子供たちの話し声と家族を世話するシャルロットの姿を目にし、幼少の頃を回想し「おお、恵みに溢れた自然よ」(O nature, pleine de grâce)と歌う。そしてウェルテルが居間に通されると、舞踏会の衣装をまとったシャルロッテが現れ、子供たちに食事の世話をしてやる。大法官はウェルテルにシャルロットが今は母親代わりなのだと話す。ウェルテルは和やかな家族の光景に心癒され、「夢みたいだ、こんな完全な存在と舞踏会に行けるなんて」と心の中で呟く。家事を終えたシャルロットはソフィーに後を頼み、ウェルテルと共に舞踏会に出かけて行く。大法官が友人の待つ居酒屋へ出かけて行くと、仕事の旅から帰ったシャルロットの婚約者アルベールが訪れる。出迎えた妹のソフィーが姉は今晩は出かけましたが、ずっと結婚を楽しみにしていたと話す。アルベールは半年の不在の間も彼女の愛情が変わらなかったことを喜び「シャルロットは希望の全て」(Tout mon espoir et toute ma tendresse!)と歌う。ソフィーとアルベールが退場すると、辺りが次第に暗くなって夜空の月が輝き始める。すると間奏曲「月の光」が流れ、楽しげに語らうウェルテルとシャルロットが腕を組んで舞踏会から帰ってくる。静かでゆったりと流れる旋律の中でウェルテルは破滅的な恋情が抑えられなくなる。ウェルテルはシャルロットに魅かれ「あなたは最高の人、最も美しい人!」(Vous êtes la meilleure ainsi que la plus belle des créatures!)と告白する。シャルロットは戸惑いながらもウェルテルは自分のことを何も知らないのにとはぐらかそうとする。その時、管弦楽が驚いたような響きを奏でると、家の中からアルベールが戻ったと言う父親の声が聞こえて来る。シャルロットはアルベールが昔、死の床につく母と約束した婚約者であることを伝え、家に入ってしまう。残されたウェルテルは「他の男が彼女の夫なのか」(Un autre! son époux!)と絶望するのだった。

 

第2幕 中央広場

9月の日曜日ののどかな午後の様子を表すような前奏が流れる。大法官の友人シュミットとジョアンはお酒を飲みながら「バッカス讃歌」(Vivat Bacchus!)を陽気に歌っている。教会の中からはオルガンの響きが聞こえて来る。日曜の礼拝にやって来る町の人々の中に、新婚3カ月となったシャルロットとアルベールがいる。アルベールは毎日を共に過ごす幸せを歌い、シャルロットに後悔はないかと問う。シャルロットは後悔などはなく幸福だと優しく答える。そして二人は連れ立って教会に入って行く。一方、シャルロットを忘れられないウェルテルは一人絶望にくれ、教会の外で「神よ、私にあの天使と人生をともにさせてくれたなら」(Dieu de bonté, si tu m'avais permis de marcher dans la vie avec cet ange)と「悲痛の歌」を歌う。そこへ教会から出てきたアルベールがウェルテルを見つけ、傍らに近づいてウェルテルの苦しみは分かると同情する。そして、自分の幸福がウェルテルの夢を奪ってしまったことを詫びるのだった。紳士的な態度を崩さないアルベールにウェルテルはもう町を出なければいけないと伝える。そこに明るいコケティッシュな音楽に乗ってソフィーが礼拝の献花を持って現れる。ウェルテルに淡い恋心をソフィーは彼をダンスに誘う。ソフィーは「空には明るい太陽が輝き、」(Du gai soleil pleine de flamme)と「陽気な太陽」を歌い、町中に幸せが満ちていると言う。アルベールはウェルテルにソフィーが恋をしているとそれとなく仄めかす。ウェルテルは自分が幸せになれるだろうかと自問自答し、黙り込んでしまう。ソフィーはメヌエットを一緒に踊りましょうと告げ、アルベールと共に去って行く。その直後に教会から出てきたシャルロットはウェルテルと再会する。ウェルテルは二人が出会った頃を回想し愛情を吐露する。心揺さぶられながらもシャルロットは自制心を保ち、自分のことは忘れて欲しくはないが、暫く町を離れて冷静さを取り戻してほしいと言う。そして、クリスマスには待っていますと告げ家路につく。残されたウェルテルは放蕩息子の寓話をもじりながら自殺を考え「子供が旅から戻る時」(Lorsque l'enfant revient d'un voyage)を歌う。ウェルテルが立ち去る決意をしたところに、ソフィーがウェルテルをダンスに誘いにやって来る。ウェルテルは永久に町を去るとそっけなく別れを告げて走り去るので、ショックを受けて泣き崩れてしまう。ソフィーは駆け寄ってきたシャルロットとアルベールにウェルテルが永久に町を去ったことを伝える。シャルロットとアルベールも衝撃を受け、3人は茫然と立ちつくすのだった。

 

第3幕 アルベールの応接間

ウェルテルの心情を象徴するような暗く荘重な前奏が奏でられ、幕が開く。シャルロットはウェルテルから来た手紙を読みながら「私の心にウェルテルがいると誰が想像できたかしら、」(Qui m'aurait dit la place que dans mon coeur il occupe aujourd'hui?)と「手紙の歌」を歌う。切々と語りかける手紙はシャルロットの心を揺さぶり、彼女はウェルテルへの想いを抑えられなくなってくる。そこに妹のソフィーがクリスマスの晩餐に誘いに訪ねて来る。ソフィーは姉の様子を心配し、自分自身もウェルテルに恋心を抱いているので姉の苦悩は分かっていると告げる。それを聞いたシャルロットは堰を切ったように泣きだし「流さぬ涙は人の心に入り込んで」(Les larmes qu'on ne pleure pas)と「涙の歌」を歌う。ソフィーは一緒に家に帰ろうと誘うが、シャルロットは虚ろで動こうとしない。仕方なくソフィーはシャルロットをおいて先に帰って行く。残ったシャルロットは己の義務を忘れないように力を授け給えと「祈り」〈Seigneur Dieu!〉を歌う。そこに突然ウェルテルが青ざめてよろめきながら現れ、何度も躊躇ったが約束の日に戻ってきてしまったと言う。シャルロットは必死で平静を装い、ここは何もかも昔のままで皆、ウェルテルの帰りを待っていたと言う。ウェルテルは拳銃の箱が置かれている整理箱の方に進むとシャルロットは拳銃から注意を逸らすため、かつてウェルテルが訳し始めていたオシアンの詩集を渡す。するとウェルテルは「何故私を眠りから覚ますのか?」(Pourquoi me réveiller, ô souffle du printemps?)と「オシアンの歌」を歌い、悲痛な想いを訴える。シャルロットは、ウェルテルの激しい感情のほとばしりに抵抗できなくなり、二人は束の間抱き締め合う。しかし、シャルロットは我に返り、永遠の別れを告げて別室に逃げ去る。希望が打ち砕かれたウェルテルは絶望し覚悟を決める。部屋に入ってきたアルベールは、シャルロットを呼び、彼女の動揺した様子を見て、何があったのかと尋ねる。召使いがウェルテルの手紙を持って来てアルベールに渡す。手紙にはウェルテルが長い旅に出るので銃を貸して欲しいと書いてある。それを見たアルベールは冷たい口調でシャルロットに銃を届けるよう言い付ける。シャルロットは不吉な予感を覚え、動揺しながらも拳銃を召使いに渡す。怒りに震えるアルベールはウェルテルの手紙を握りつぶして出て行く。シャルロットは間に合うように祈りながら後を追うのだった。

 

第4幕 ウェルテルの書斎

クリスマス・イヴの夜、村は雪に覆われている。木々や屋根の上に月の光が注がれている。寒風が吹きすさぶ様子が管弦楽によって巧みに表現されている。燭台の薄暗い光が部屋を照らしている。駆けつけてきたシャルロットはかつて二人で並んで座った長椅子の下に倒れているウェルテルを見出だす。瀕死のウェルテルは穏やかな表情を浮かべて許しを乞う。シャルロットは泣きすがり、助けを呼ぼうとする。しかし、ウェルテルはそれを遮り、君だけでいい、最後の幸せの時に誰にも二人を離させたくはないと告げる。シャルロットは今までは言えなかったが、自分も初めて会った時から愛していたと初めて愛を告白し、口づけをする。二人は固く抱き合う。ウェルテルは死んだら二本のライムの木の下に埋めてほしい、キリスト教の定めで許されないなら道端か寂しい谷間に墓を作ってほしい、ある女性が優しい涙を死んだ男の影に流してくれれば死んだ哀れな男の魂は救われるだろうと言い残し、息絶える。シャルロットはウェルテルの亡骸を抱きしめる。教会からは子供たちの歌う幸福そうなクリスマスキャロルが聞こえてくるが、シャルロットには虚しく響くのだった。

プログラムとキャスト

音楽監督:エンリケ・マッツォーラ

ウェルテル:ジョナサン・テテルマン

シャーロット:アイグル・アクメティナ

アルバート:ディーン・マーフィー

ソフィー:リリット・ダヴティアン

執行吏:ミヒャエル・バハタゼ

シュミット:チャンス・ジョナス・オトゥール

ヨハン:ジェラルド・ファレラス

ブリュールマン: N.N.

ケッチェン:アレクサンドラ・オーメンス

オーケストラ: ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団

合唱団: ベルリン・ドイツ・オペラ児童合唱団

ベルリン・ドイツ・オペラ

ベルリンドイツオペラはドイツ・ベルリンのシャルロッテンブルク地区にあるオペラハウスで、ドイツ国内ではではバイエルン国立歌劇場に次ぐ2番目に大きな歌劇場です。ベルリン国立バレエ団の本拠地。

このオペラハウスの歴史は、シャルロッテンブルク地区が 「プロイセンで最も豊かな街」として独立していた時代の「シャルロッテンブルク・ドイツ歌劇場」に遡ります。 1911年よりハインリッヒ・ゼーリンク(Heinrich Seeling)によって設計され、1912年11月7日に開館され、イグナッツ・ヴァルター指揮の下ベートーベン「フィデリオ」が上演されました。 1920年ベルリン行政区新設法により、大ベルリンが設置された際、劇場の名前は1925年に「ベルリン市立歌劇場」となります。

オペラ座がナチス政権のコントロール下にあった1933年その名称は「ベルリン・ドイツ・オペラ」とされ、ベルリン州立歌劇場と覇を競い1935年に建物は座席数を減らして改築されますが1943年11月23日に爆撃を受け、破壊されてしまいます。

戦後、西ベルリンに新設され、1961年9月24日に現在の名称「ベルリン・ドイツ・オペラ」としてモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」をもって開場されます。

座席数1900

© Günter Karl Bose
© Leo Seidel
© Bettina Stöß
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