サロメ

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サロメ – リヒャルト・シュトラウス 1864–1949
1幕の楽劇

リヒャルト・シュトラウス作曲
オスカー・ワイルドの戯曲 サロメ をヘドヴィヒ・ラッハマンがドイツ語に翻訳した版に基づく

 

サロメ:虚無主義的な新約聖書。

 

オスカー・ワイルドは、フランスの女優サラ・ベルナールのためではなく、また彼女が演じたいと願ったにもかかわらず、ヘブライの王女を描いたギュスターヴ・モローの絵画に触発され、トーキー滞在中に戯曲 サロメ をフランス語で執筆した。ヴィクトリア朝時代の英国では聖書を題材とした上演が許可されなかったため、ワイルドは個人的かつ戦略的な理由からフランス語を選んだ。リヒャルト・シュトラウスは、劇作家で最初のリブレット作者であるラッハマンの翻訳によるドイツでの初演を通じてこの作品と出会い、そのテキストを原作の3分の1に縮めた。作曲家は、ニーチェに通じる哲学的虚無主義を保持しつつ、ワイルドが退廃的な美意識で装飾した世界観を音楽に込めた。サロメ はワーグナー的な新約聖書であり、ワーグナーの パルジファル の浄化でもある。しかし、シュトラウスがワーグナー的な道を超えようとしたにもかかわらず、その構造の痕跡はこの神経質な交響詩の建築の中に残り、最後は洗礼者ヨハネの聖なる首に向かって歌われる流血の 愛の死 で幕を閉じる。

 

官能的で倒錯的なシュトラウスの サロメ が、ラ・スカラによるオリジナル演出でLes Artsに戻ってくる。この演出は、Il viaggio a Reims、ドン・ジョヴァンニ、ファウストの劫罰、愛の妙薬 など数々の成功作をメインホールで上演してきたダミアーノ・ミキエレットによって手がけられた。現代で最も先見性のあるイタリアの演出家によるこの舞台は、彼のキャリアの中でも特に印象的な作品のひとつであり、象徴性に富み、聖書の人物をより現代的なイメージで描き出す視覚的な力を持っている。タイトルロールを演じるヴィダ・ミクネヴィチューテは、その卓越した声楽技術とサロメの感情の複雑さを表現する能力で高く評価され、この論争的な役をウィーン、ミュンヘン、ベルリンの歌劇場、そしてこの同じ演出のラ・スカラで50回以上演じてきた。彼女はジョン・ダシャック(ヘロデ)、ミカエラ・シュスター(ヘロディアス)、ニコラス・ブラウンリーと共演し、指揮はジェームズ・ガフィガンが務める。

 

 

あらすじ

紀元30年ごろ、ガリラヤ湖に面したヘロデの宮殿の大テラス。シリア人の衛兵隊長ナラボートは、宮殿で開かれている宴を覗き見し、サロメの美しさに心を奪われるものの、ナラボートをひそかに慕うヘロディアスの小姓にたしなめられる。そこへ救世主の到来を告げる重々しい声。兵士たちによればそれは地下の空の古井戸に幽閉されている預言者ヨカナーンの声だとのこと。

 

そこへサロメが現れる。彼女は義父であるヘロデが自分に投げかける、情欲むき出しの視線に耐えかね、宴席を抜け出してきたのだったが、聞こえてくる声に興味を示し、ナラボートが自分に好意を抱いていることにつけこんで、ヨカナーンをここへ連れて来いという。兵士たちはヨカナーンに接触することを禁じられていたため、はじめはそれに応じないが、サロメはナラボートに媚を売り、古井戸から連れ出させる。現れたヨカナーンに圧倒されるサロメ。ヨカナーンは彼女には見向きもせず、サロメの母ヘロディアスの淫行を非難するが、サロメはなおも彼に近付こうとする。憧れのサロメの、あまりに軽薄な態度に落胆したナラボートは自決を遂げてしまう。ヨカナーンはサロメをたしなめつつ自ら古井戸に戻る。

 

やがてサロメを探してヘロデがヘロディアスや家臣たちとともに姿を現す。彼らはナラボートの死体から流れ出た血で足を滑らせたため、ヘロデはナラボートが自決したことを知る。不気味な前兆におびえながらも、ヘロデはサロメを自分の側に呼び寄せ、関心を惹くべく酒や果物を勧めるが、サロメはまったく興味を示さず、ヘロディアスも娘を王に近づけまいとする。

 

そこへヘロデ夫妻の行状を非難するヨカナーンの声。ヘロディアスは激怒し、彼を黙らせるか、ユダヤ人たちに引き渡してしまえ、と叫び、ユダヤ人とナザレ人たちは言い争いを始める。ヨカナーンの声はなおも響いてくるので、心を乱されたヘロデは気分直しにサロメに舞を所望する。サロメははじめはそれに応じようとしないが、ヘロデが褒美は何でもほしいものを与える、と持ちかけたため、サロメは裸身に7枚の薄いヴェールを身につけて踊り始める。官能的な舞が進むにつれ、ヴェールを一枚ずつ脱ぎ捨ててゆくサロメ。ヘロデは強く興奮し、やがて舞を終えたサロメに何が欲しいかと尋ねる。

 

サロメの答えは銀の大皿に載せたヨカナーンの生首。さすがに狼狽したヘロデは代わりのものとして宝石や白いクジャク、果ては自分の所領の半分ではどうか、と提案するものの、サロメは頑として合意しない。ヘロデはとうとう根負けし、ヘロディアスが彼の指から死の指輪を抜き取って首切り役人に渡す。役人は古井戸の中へ入ってゆき、サロメはその近くで耳を澄ましている。不気味な静寂だけが続き、サロメが苛立ちを募らせていると、騒々しい大音響が響き、首切り役人が銀の大皿に乗せたヨカナーンの生首を持って現れる。サロメは狂喜してそれを掴むと、お前は私にくちづけさせてはくれなかった、だから今こうして私が、と長いモノローグを歌った後、恍惚としてヨカナーンの生首にくちづけする。そのさまに慄然としたヘロデはサロメを殺せと兵士たちに命じ、サロメは彼らの楯に押しつぶされて死ぬ。

プログラムとキャスト

指揮 – ジェームズ・ガフィガン
演出 – ダミアーノ・ミキエレット
美術 – パオロ・ファンティン
衣装 – カルラ・テティ
照明 – アレッサンドロ・カルレッティ
振付 – トーマス・ヴィルヘルム

 

サロメ – ヴィダ・ミクネヴィチューテ
ヘロデ – ジョン・ダザック
ヘロディアス – ミカエラ・シュスター
ヨカナーン – ニコラス・ブラウンリー
ナラボート – ホエル・プリエト

 

オルケストラ・デ・ラ・コミュニタット・バレンシアナ

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