ランスへの旅

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ランスへの旅 -  ジョアキーノ・ロッシーニ (1792 – 1868)

 

1幕のジオコーソドラマ;
リブレット:ジュゼッペ・ルイージ・バローチ;
1825年6月19日にパリのThéâtre-Italienで初演
2018年6月15日にドイツ・オペラ・ベルリンで初演
推奨年齢:13歳以上

 

 

あらすじ

時と場所:1825年のフランス、プロンビエールにあるホテル「黄金の百合」

 

全1幕

第1場

プロンビエールにあるホテル「黄金の百合」では、朝から国王の戴冠式に向かう人々の世話に女将のコルテーゼ夫人や女中頭のマッダレーナ、ボーイ長のアントニオもおおわらわである。ホテルの医者ドン・プルデンツィオも、食事の献立まで気を使う熱の入れよう。これも戴冠式を見るために集まった各国の貴族達にホテルの名を売るためである。

 

第2場

そこへフォルヌヴィル伯爵夫人がやってくる。流行に目が無い彼女は、「今度の戴冠式のために流行の衣装を沢山用意しているけど、まだ届かないの」と小間使いのモデスティーナに催促している。するとそこに夫人の従弟のルィジーノが、「馬車の事故であなたの衣装はだめになった」と告げる。あまりのことに失神する夫人。助けを呼ぶルィジーノの声にドン・プルデンツィオ、トロムボノク男爵もやってくるが、騒ぐだけで役には立たない。そこへモデスティーナが、「帽子だけは無事でした」と流行の帽子が入った箱を持ってくる。それを聞いた夫人は「神様ありがとう!」といって立ち直る。この様子に他の面々はあきれる。

 

第3場

一同がトロムボノク男爵を残して退場すると、男爵はアントニオを呼び止めてチェック・アウトする時の支払いについて相談する。男爵はこのランスにやってきた人々の中で会計係を任されている。アントニオが去ると男爵はフォルヌヴィル夫人の帽子騒ぎをこの世は「おかしな人間の入った大きな檻」と形容して退場。 男爵の退場後、骨董マニアのドン・プロフォンド、スペインの提督ドン・アルヴァロとイタリアの将軍の未亡人でポーランド出身のメリベーア侯爵夫人、そしてロシアのリーベンスコフ伯爵がやってくる。ドン・アルヴァロとリーベンスコフ伯爵は、メリベーア夫人を巡って恋の火花を散らしている。今日も夫人のエスコートを誰がやるのかでもめている。騒ぎを聞きつけてコルテーゼ夫人もやってくるが、止めようがない。二人のケンカが一触即発の状態になろうとした時、ローマの女流詩人コリンナの奏でる竪琴の美しいアリアが響く。コリンナの「私は望みます、人々の心に同胞愛がゆきわたることを」と歌うと、もめていた一同も心を和ませ、コルテーゼ夫人を残して退場。

 

第4場

コルテーゼ夫人が従者のジェルソミーノを待っていると、コリンナを密かに愛するイギリスのシドニー卿がたくさんの花束を持って登場。彼は彼女の部屋の前に匿名で花束を送っているが、コリンナに思いを告げられずにいる。今日も花束だけをおいて「どうして彼女を知ってしまったんだろう?」とため息をついている。そこへ、骨董マニアのドン・プロフォンドが現れ、「英国の方、フィンガルの剣とアーサー王の鎧、そしてサクソンのアルフレッド大王の剣はどこで手に入ります?」と卿に聞く。何考えているんだこの男…と思いながら卿が去ろうとすると、骨董マニアはなおも食い下がる。うんざりしたシドニー卿は、「博物館でもさがすんですね」と言って立ち去る。

 

第5場

コリンナが登場してシドニー卿が送った花を愛でていると、コリンナに目をつけている色男騎士ベルフィオールがやってきて、「あなたは僕の理想の女性」とコリンナに迫る。しかし彼女は「あなたのような人には嘲りと蔑みを引き起こすばかり」といって拒否して退場。ベルフィオールも後を追って出て行く。

 

第6場

この様子を見ていたドン・プロフォンドは、「ああ面白かったあの色男殿は!」とつぶやき、登場人物達のお宝目録を作る。「スペイン人のお宝は家系図に十字架、ペルー産の大きな真珠。ポーランドのご夫人は色絵付の豪華本。フランスのご夫人はリボンとレース。ドイツの男爵はギリシャ語の論文に楽譜とホルンとトロンボーン。イギリス人は旅行記、中国産のお茶、手形、権利の章典。フランスの騎士殿はリトグラフと絵筆。ロシア人は地図帳と黒テンの毛皮…」と一人で夢中になっている。 そこへフォルヌヴィル夫人が騎士ベルフィオールを探しに来る。彼の行き先を聞かれたドン・プロフォンドは思わず「彼なら詩を読んでました」というと、夫人は、「あの浮気者! 例の女詩人と一緒ね!」と怒り狂う。 そこへドン・アルヴァーロ、リーベンスコフ伯爵、トロムボノク男爵がやってくる。「恐ろしい災難が…」と叫ぶと、騒ぎを聞きつけた他の登場人物達全員が集まってくる。全員で何があったのか尋ねると、男爵は「馬を一頭も確保できない。我々は残念ながらランスに行けません」と言う。

 

第7場

思わぬ事態に一同騒然となっている所にコルテーゼ夫人が夫の手紙を持ってやってくる。手紙には、「国王様は数日中にパリに戻られ、そこでも戴冠式をする」と書かれている。これを聞いてフォルヌヴィル夫人が、「パリならここから乗合馬車が出ているから安心です。それにパリでは私の屋敷に皆様をご招待します。明日にでも出発しましょう」というと、一同賛成する。「では、お預かりした皆様のお金はどうします?」というトロムボノク男爵にドン・プロフォンドは「大宴会をしまして使いましょう」と言うと、リーベンスコフ伯爵も「その残りは困っている人に」と言い、全員が賛成する。宴会の準備を任されたコルテーゼ夫人は大喜びで準備にかかる。

 

第8場

一同がメリベーア夫人とリーベンスコフ伯爵、トロムボノク男爵を残して去ると、夫人と伯爵はドン・アルヴァーロを巡って言い争うが、男爵の仲裁で仲直りし、伯爵は夫人に求婚する。

 

第9場

一方宴会場では、マッダレーナ達が準備に余念が無い。準備が整うと、トロムボノク男爵の乾杯の音頭の後、登場人物達がそれぞれの国の音楽にあわせて新国王とフランス王室を讃えていく。そして最後にコリンナによる即興詩でシャルル10世を讃える中でこの劇の幕が下りる。

プログラムとキャスト

上演時間: 2時間45分(休憩1回含む)
言語: イタリア語(ドイツ語および英語の字幕付き)
公演前講演(ドイツ語): 各公演の45分前

 

キャスト
指揮者: アレッサンドロ・デ・マルキ
演出: ヤン・ボッセ
舞台美術: ステファン・レイメ
衣装デザイン: カトリン・プラート
照明デザイン: ケヴィン・ソック
映像: メイカ・ドレゼンカンプ
コリーナ: リリット・ダフティアン
マルケーザ・メリベア: ステファニー・ウェイク=エドワーズ
コンテッサ・ディ・フォルレヴィル: ヘー=ヨン・ムーン
マダマ・コルテーゼ: フルカル・サビロワ
カヴァリエ・ベルフィオーレ: カンユン・シャイン・リー
コンテ・ディ・リーベンスコフ: オマー・マンチーニ
ロード・シドニー: ジョエル・アリソン
ドン・プロフォンド: アルトゥール・ガルバス
バローネ・ディ・トロンボノック: フィリップ・イェカル
ドン・アルヴァロ: カイル・ミラー
ドン・プルデンツィオ: パドレイック・ローアン
ゼフィリーノ: チャンス・ジョナス=オトゥール
マッダレーナ: アレクサンドラ・イオニス
モデスティーナ: アレクサンドラ・オーメンス
デリア: ダビア・ブーレイ
アントニオ: ジャレッド・ヴァーライン
オーケストラ: ベルリン・ドイツオペラ管弦楽団

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ベルリン・ドイツ・オペラ

ベルリンドイツオペラはドイツ・ベルリンのシャルロッテンブルク地区にあるオペラハウスで、ドイツ国内ではではバイエルン国立歌劇場に次ぐ2番目に大きな歌劇場です。ベルリン国立バレエ団の本拠地。

このオペラハウスの歴史は、シャルロッテンブルク地区が 「プロイセンで最も豊かな街」として独立していた時代の「シャルロッテンブルク・ドイツ歌劇場」に遡ります。 1911年よりハインリッヒ・ゼーリンク(Heinrich Seeling)によって設計され、1912年11月7日に開館され、イグナッツ・ヴァルター指揮の下ベートーベン「フィデリオ」が上演されました。 1920年ベルリン行政区新設法により、大ベルリンが設置された際、劇場の名前は1925年に「ベルリン市立歌劇場」となります。

オペラ座がナチス政権のコントロール下にあった1933年その名称は「ベルリン・ドイツ・オペラ」とされ、ベルリン州立歌劇場と覇を競い1935年に建物は座席数を減らして改築されますが1943年11月23日に爆撃を受け、破壊されてしまいます。

戦後、西ベルリンに新設され、1961年9月24日に現在の名称「ベルリン・ドイツ・オペラ」としてモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」をもって開場されます。

座席数1900

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