ラ・ダムナシオン・ド・ファウスト

トマーシュ・ネトピルとニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のスター歌手たちが、ゲーテの『ファウスト』に基づく劇的で魅力的な伝説を描く。すべての道は地獄へ通じる！

ファウスト：
お前は誰だ、その燃えるようなまなざしは
短剣の閃きのように突き刺さり、
炎のように
魂を焼き、むさぼり食らう。

メフィストフェレス：
医者にしてはずいぶん軽薄な質問だな。
私は生命の精、慰めを与える者だ。
お前にすべてを与えよう――幸福、快楽、
最も熱い願望が夢見るすべてを。

ファウスト：
よろしい、哀れな悪魔よ、お前の驚異を見せてみろ。

「この素晴らしい本は、最初から私を魅了した。手放すことができなかった。食事中も、劇場でも、街でも、どこでも読み続けた」――19 世紀フランス音楽の革新的作曲家 エクトル・ベルリオーズ は、ゲーテの『ファウスト』に対する熱中ぶりをこう記している。彼の“ファウスト”への情熱は、まず 『ファウストからの8つの情景』 を生み、18 年後には『幻想交響曲』を超えるほどの傑作、「劇的伝説」 『ファウストの劫罰』 へと結実した。ベルリオーズの物語はゲーテの原作と大きく異なり、冒頭からファウストを容赦なく地獄へと追いやる。しかし永遠の破滅に至る前に、作曲家は彼を数々の冒険へと導き、ユーモラスで劇的、そしてロマンティックな情景を次々に展開する。
トマーシュ・ネトピル は、混声合唱、児童合唱、4 人の独唱者、大オーケストラのためのこの壮大な作品を、プラハの春での自身のデビュー公演に選んだ。主要役はニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のスター、テノール ポール・アップルビー（ファウスト）とバス アレクサンドル・ヴィノグラドフ（メフィストフェレス）。マルグリート役にはドレスデン国立歌劇場のメゾソプラノ シュチェパンカ・プチャールコヴァー、学生ブランデル役には国立劇場と国立オペラのソリスト パベル・シュヴィングル が出演する。

エクトル・ベルリオーズ（1803–1869）は、生前は指揮者・批評家として高く評価され、作曲家としては時代をはるかに先取りしていたため、その革新性は後の世代（ワーグナーなど）によってようやく理解された。1846 年のパリ初演は大失敗に終わったが、50 年後のモンテカルロ上演でついに大成功を収めた。序文でベルリオーズは「この作品はゲーテの主要な思想を踏まえていない。彼の偉大な詩ではファウストは救われるからだ」と述べている。彼が追求したのは、ファウスト物語の“音楽的本質”であった。2 時間を超える作品は、模倣的書法、鮮烈な音色、機知に満ちている。第 IV 部の パンダモニウム の咆哮や、居酒屋の場面で学生ブランデルが「死んだネズミの歌」を歌い、皮肉で完璧なフーガへと発展するくだりなどがその好例である。ベルリオーズはフランス語訳（ジェラール・ド・ネルヴァル）を基に、自ら台本を構成し、音楽のアイデアが湧くままに詞を補った。「馬車の中でも、汽車でも、蒸気船でも、書ける時に書いた」と彼は述べている。
トマーシュ・ネトピル曰く：「『ファウストの劫罰』 は、私にとって音楽の饗宴であると同時に冒険です。ベルリオーズの幻想的な音楽美学は、この劇的な物語を極めて鮮烈で説得力のある体験へと変え、ファウストのテーマを再び“人間の物語”として甦らせてくれます。」

プログラムとキャスト

プログラム

エクトル・ベルリオーズ：『ファウストの劫罰』Op. 24

出演者

プラハ交響楽団
トマーシュ・ネトピル – 指揮
プラハ・フィルハーモニー合唱団
ルカーシュ・ヴァシレク – 合唱指揮
プラハ・フィルハーモニー児童合唱団
ペトル・ロウジェンスキー – 合唱指揮
ポール・アップルビー – テノール（ファウスト）
シュチェパンカ・プチャールコヴァー – メゾソプラノ（マルグリート）
アレクサンドル・ヴィノグラドフ – バス（メフィストフェレス）
パベル・シュヴィングル – バス（ブランデル）