トゥーランドット

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JUN 2026

 

トゥーランドット – ジャコモ・プッチーニ 1858–1934

三幕の抒情悲劇
カルロ・ゴッツィの同名作品によるジュゼッペ・アダーミとレナート・シモーニの台本

 

トゥーランドット: コメディア・デッラルテから独自の表現主義へ

 

『トゥーランドット』はジャコモ・プッチーニにとって最後の作曲の冒険であった。1921年に着手され、1924年まで彼を捉え続けた作品である。同年11月29日、プッチーニはこの世を去り、最後の二つの場面のテキストと音楽について多くの疑問とスケッチを残した。これらはフランコ・アルファーノによって補筆された。台本はヴェネツィアの伯爵カルロ・ゴッツィの戯曲『トゥーランドッテ』(1762年)に着想を得ている。最終形態では原作の喜劇的要素は大きく変化しているが、プッチーニは三人の大臣と皇帝アルトゥームの人物像においてコメディア・デッラルテへのオマージュを残した。作曲家は常にこのオペラを一つの長い幕で上演するべきと感じており、三幕への分割には満足していなかった。それでも、彼は幕の上げ下げによって三つの部分に分ける慣習を受け入れざるを得なかった。20世紀的なモダニズムは、その「民族音楽的」要素(再構成された中国の本物の音楽)、ビトナリティの兆し、繊細なオーケストレーション、新しい音色の探求を通して現れ、老年におけるプッチーニの永遠の若さを示している。

 

『トゥーランドット』はマーク・エルダー卿が音楽監督としてLes Artsで迎える初のオペラシーズンの掉尾を飾る。彼はコヴェントガーデンやパリ・オペラ座など主要な舞台でこのプッチーニの遺作を指揮してきた。中国の王女という強大な役柄には、Les Artsでアズチェーナ、マクベス夫人、プレツィオジッラを演じ、厚い支持を受けてきた偉大なロシア人アーティスト、エカテリーナ・セメンチュクが起用される。王子カラフ役は、ヴァレンシアで『オテロ』や『ピーター・グライムズ』などで称賛を受けたアメリカのテノール、グレゴリー・クンデが務め、氷のような彼女の心を射止めようとする。東京オペラのためにアレックス・オリエが構想した未来的な演出は、繰り返される異国趣味的な舞台を避け、主人公たちの運命を形作る過去のトラウマに深く踏み込んでいる。

 

 

あらすじ

時と場所:いつとも知れない伝説時代の北京

第1幕

宮殿(紫禁城)の城壁前の広場。役人が群衆に宣言する「美しいトゥーランドット姫に求婚する男は、彼女の出題する3つの謎を解かなければならない。解けない場合その男は斬首される」今日も謎解きに失敗したペルシアの王子が、月の出とともに斬首されるべく、喝采する群衆の中を引き立てられてくる。敗戦により、国を追われて放浪中の身であるダッタン国の王子カラフは、召使いのリューに手を引かれながらさ迷う盲目の父、ダッタン国の元国王ティムールを発見し、3人は互いに再会を喜ぶ。ペルシア王子処刑の様子を見にトゥーランドット姫が広場に現れ、カラフは一目見てその美しさの虜となる。ティムール、リュー、そして宮廷の3大臣ピン、ポン、パンが思いとどまるよう説得するが、カラフはトゥーランドットの名を叫びながら銅鑼を3回打ち鳴らし、自らが新たな求婚者となることを宣言する。第1幕では、トゥーランドット姫は一切声を発さない。

 

第2幕

ピン、ポン、パンの三大臣が軽妙なやりとりで姫とカラフの噂話をしている。そのうち、帝の出御となり群衆が集まる。万歳の叫び声の中、皇帝アルトウームがカラフに無謀な試みをやめるよう説得するがカラフは耳を貸さない。こうして姫が冷やかな表情で出てくる。

カラフの謎解きの場面。トゥーランドット姫は、何故自分がこのような謎を出題し、男性の求婚を断ってきたのかの由来を改めて述べる「かつて美しいロウ・リン姫は、異国の男性に騙され、絶望のうちに死んだ。自分は彼女に成り代わって世の全ての男性に復讐を果たす」。

第一の謎「毎夜生まれては明け方に消えるものは?」カラフ曰く「それは希望」第二の謎「赤く、炎の如く熱いが、火ではないものは?」「それは血潮」カラフは2つまでも正解を返す。最後の謎「氷のように冷たいが、周囲を焼き焦がすものは?」カラフは暫く悩むが、これも「トゥーランドット!」と正答する。

謎がことごとく打破されたトゥーランドット姫は父アルトゥーム皇帝に「私は結婚などしたくない」と哀願するが、皇帝は「約束は約束」と娘に翻意を促す。カラフは姫に対して「それでは私もたった一つの謎を出そう。私の名は誰も知らないはず。明日の夜明けまでに私の名を知れば、私は潔く死のう」と提案する。

 

第3幕

北京の街にはトゥーランドット姫の命令が下る。「今夜は誰も寝てはならぬ。求婚者の名を解き明かすことができなかったら住民は皆死刑とする」カラフは「姫も冷たい部屋で眠れぬ一夜を過ごしているに違いない。夜明けには私は勝利するだろう」とその希望を高らかに歌う。ピン、ポン、パンの3大臣は多くの美女たちと財宝を彼に提供、姫への求婚を取り下げるよう願うが、カラフは拒絶する。ティムールとリューが、求婚者の名を知る者として捕縛され連行されてくる。名前を白状しろ、とリューは拷問を受けるが、彼女は口を閉ざし、衛兵の剣を奪い取って自刃する。リューの死を悼んで、群衆、3大臣など全員が去り、トゥーランドット姫と王子だけが残される。

王子は姫に熱い接吻をする。リューの献身を目の当たりにしてから姫の冷たい心にも変化が生じており、彼を愛するようになる。ここで王子ははじめて自らの名がカラフであることを告げる。「名前がわかった」と姫は人々を呼び戻す。

トゥーランドットとカラフは皇帝の玉座の前に進み出る。姫は「彼の名は……『愛』です」と宣言する。群衆は愛の勝利を高らかに賛美、皇帝万歳を歌い上げる中、幕。

プログラムとキャスト

指揮 – サー・マーク・エルダー
演出 – アレックス・オリエ
美術 – アルフォンソ・フローレス
衣裳 – リュック・カステルス
照明 – ウルス・シェーネバウム

 

トゥーランドット – エカテリーナ・セメンチュク
ティムール – リアン・リー
カラフ – グレゴリー・クンデ
リュー – カロリーナ・ロペス・モレノ
ピン – ヤン・アンテム
パン – パブロ・ガルシア=ロペス
ポン – ミケルディ・アチャランダバソ

 

Escolania de la Mare de Déu dels Desemparats
合唱指揮 ルイス・ガリード
Cor de la Generalitat Valenciana*
合唱指揮 ジョルディ・ブランク・トルデラ
Orquestra de la Comunitat Valenciana
Alumni Centre de Perfeccionament++

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