フィデリオ

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MAR 2026 Next

 

オペラ全2幕(1814年)
イングリッシュ・ナショナル・オペラとの共同制作
16歳以上推奨
ドイツ語上演、ドイツ語・英語字幕付き

 

男装して「フィデリオ」と名乗るレオノーレは、看守ロッコとその娘マルツェリーネの信頼を得て、夫フロレスタンがドン・ピツァロにより専制的に監禁されている高警備区域への立ち入りを果たします。フロレスタンは命の危機に瀕していますが、レオノーレは怯むことなく彼の救出を決意します。最終的に、二人は君主の使者によって救われます。終幕ではユートピア的な合唱が舞台を照らし、自由と正義への願いを高らかに歌い上げるとともに、人間存在の不安や制約をも糾弾します。

 

 

フィデリオ


作曲:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

初演:1814年5月23日 ウィーン、ケルントナー・トーア劇場

台本:ゲオルク・フリードリヒ・トライチュケ(ドイツ語)

 

あらすじ

 

第1幕

場所はスペインのセヴィリャの近郊、そこの刑務所の地下牢には、政治犯のフロレスタンが幽閉されている。彼は刑務所長でもある、政敵のドン・ピツァロの不正を暴いたため、恨みを受けて監禁されてしまったのである。これを知っているのは、牢番のロッコだけで、フロレスタンの妻レオノーレは、男装してフィデリオと名乗り、ロッコの手下として潜入している。そしておりあらば、夫を救出しようと時を窺っている。
刑務所の敷地内にあるロッコの官舎、有名な序曲の後、ロッコの娘のマルツェリーネが洗濯物を乾かしていると、門番のヤッキーノが来て彼女に結婚を迫る。だがマルツェリーネは、最近ロッコの手下になった、美青年のフィデリオに惹かれているので、彼の誘いに色好い返事は出来ない。そして一人になった彼女は、フィデリオに対する燃えるような心をうたう。
外出から帰って来たフィデリオは、ロッコとヤキーノを加えて四重唱を始める。自分の娘にはレオノーレが最適だとロッコはいい、マルツェリーネはこれを聴いて狼狽する。またロッコは結婚は愛情だけではだめで、金もなければ幸せにはなれないと、世俗的な自分の哲学をうたう。そこでフィデリオはそれとなく、地下の囚人のことを聞き出そうとする。ロッコは善人らしく、2年ほど以前から、重要な政治犯が囚われていて、1ヶ月前から食事の量を徐々に減らして行くよう、所長から言い渡されているという。フィデリオは益々、それが夫だと確信を深める。
突然力強い行進曲が聞こえて、門が開かれると、多くの兵をしたがえた所長のドン・ピツァロがあらわれ、ロッコから受け取った手紙を読む。彼の顔は見る見る蒼白になり、驚愕の表情を浮かべる。そこには監禁しているフロレスタンの同志で、大臣のドン・フェルナンドが、不法に監禁されている政治犯がいないかどうか、査察に来ると書かれていたからである。そしてピツァロは、これを機会にフロレスタンを殺してしまおうと計画する。ピツァロは部下たちに警戒を厳重にするよう命令すると、大金の入った袋をロッコに渡して、自分のいい付けどおりに、地下牢の囚人を殺せという。小心で根が善良なロッコは、とてもそんなことは出来ないと断る。ではお前は墓を掘れ、殺すのは俺がやるとピツァロ、ロッコは仕方なくピツァロについて行く。物陰からフィデリオがあらわれると、このオペラの最も有名なアリア、「悪者よ、どこへ急ぐのだ」をうたう。
フィデリオが退場すると、入れ替わりにマルツェリーネとヤキーノがあらわれる。ヤキーノは、なおしつこく結婚を迫る。ロッコとフィデリオが再び登場して、ロッコはヤキーノに、この娘はお前にはやれないと、一喝する。そこでフィデリオは、今日は天気もいいので、囚人たちにも日光浴でもさせたらと、ロッコに提案する。ロッコは最初はためらうが、ピツァロの信頼を得ているのを心得ているので、独断でそれを許可する。そして囚人たちが陽の光を求めて、中庭に集まってくる。この場面で男声4分合唱によってうたわれるのが、これも大変有名な「囚人の合唱」である。そこへマルツェリーネが駆け込んで来て、ピツァロの許しもなく囚人たちを日光浴させたので、彼がかんかんに怒っていると告げるので、ロッコは慌てて囚人たちを牢に戻るように命じる。そこへ怒気満々のピツァロがあらわれ、ロッコを激しく怒鳴りつける。囚人たちの喜びも束の間に終わり、弱々しく合唱しながら退場する。

 

第2幕

真っ暗で陰惨な地下牢、その片隅に鎖に繋がれたフロレスタンが、静かにうずくまっている。彼は絶望しながらも、愛妻のレオノーレことを思っている。そして有名な「レオノーレ」序曲第3番にも使われている、旋律をもとにしたアリアがうたわれる。疲れたフロレスタンが、再びその場へうずくまると、ロッコとフィデリオが水がめと、穴を掘る道具を携えてあらわれる。ロッコは牢の片隅に死体を埋める、大きな穴を掘り始める。フィデリオはそれを手伝いながら、囚人が夫であるかどうかを注意深く観察する。気息奄々とした囚人が、ここの所長は誰かと尋ねると、ロッコが正直にピツァロだと答える。それを聞いて憤激した囚人をみて、それがまぎれもない夫のフロレスタンだと、フィデリオは確信する。
ロッコは最後の晩餐のつもりで、フロレスタンにワインを飲ませると、フィデリオはパンの少しの部分を与える。フロレスタンは、感謝する歌をうたう。ロッコが穴を掘り終わると、黒いマントに身を包んだピツァロがあらわれ、フィデリオを追い払う。だが彼女は片隅に隠れて、その場の様子を窺う。さっとマントを脱ぎ捨てたピツァロが、短刀をかざして、フロレスタンに近づいた瞬間、「下がれ」と大声でフィデリオが飛び出して来る。そして妻である私から先に殺せと叫ぶので、ピツァロもロッコもびっくりする。フィデリオの手には、しっかりと拳銃が握られているので、さすがのピツァロもどうすることも出来ない。ここでようやくこの若い下働きが、フロレスタンの妻レオノーレであるのを知る。するとその緊張を破るかのように、舞台裏からラッパのファンファーレが聞こえて来る。大臣の到着を告げる信号である。レオノーレとフロレスタンは、それこそ危機一髪で助かったのである。愕然として口惜しがるピツァロ、ただ呆然として佇むロッコ。再びラッパが高らかに鳴り渡ると、ピツァロとロッコは悄然として立ち去る。そしてレオノーレとフロレスタンは、気を取り直して喜びの二重唱をうたう。この後現在では「レオノーレ」序曲第3番が演奏されるのが普通だが、これはウィーンの宮廷歌劇場の総監督を務めていた、作曲家のマーラーのアイデアによるものだといわれている。
第2場は刑務所内の広場で、大臣のドン・フェルナンドが、ピツァロや大勢の兵士たちを従えてあらわれる。フロレスタンのほかにも、故のない濡れ衣を着せられて、投獄された政治犯が多くいたらしく、大臣が釈放した囚人たちがヤキーノに導かれて入場し、フェルナンドの前に跪く。そしてロッコがフロレスタンを連れて登場するので、大臣は生きていた彼をみて驚く。そしてロッコが、今までの経過を包み隠さずに報告し、レオノーレの勇敢な行ないを告げるので、群衆が悪人を罰せよと叫び、ピツァロは悄然と、兵士たちに連行されて行く。鎖を解かれたフロレスタンは、今や完全に自由の身となり、貞淑で勇敢な妻レオノーレとしっかりと抱き合う。正義の勝利と崇高な夫婦愛を称える合唱が大きく盛り上がり、壮麗な気分のうちに幕が下ろされる。

プログラムとキャスト

上演時間:約2時間50分

指揮者: ヨエル・ガムツォウ
演出: カリスト・ビエイト
美術: レベッカ・リングスト
衣装: インゴ・クリューグラー
照明: ラインハルト・トラウブ
振付助手: ハイディ・アエミセッガー
ドラマトゥルク: アンドレア・シェーンホーファー
合唱指導: クリストフ・ハイル

ドン・フェルナンド: アレクサンダー・グラッサウアー
ドン・ピツァロ: ヨーゼフ・ワーグナー
フロレスタン: ベンジャミン・ブルンス
レオノーレ: ヨハンニ・ファン・オーストルム
ロッコ: ルネ・パーペ
マルツェリーネ: ミリアム・メサク
ヤキーノ: カスパー・シング
囚人1: ダフィッド・ジョーンズ
囚人2: パヴェウ・ホロディスキ

バイエルン国立管弦楽団
バイエルン国立歌劇場合唱団

バイエルン国立歌劇場

バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)はドイツバイエルン州のミュンヘンにある歌劇場。バイエルン国立管弦楽団(Bayerische Staatsorchester)、バイエルン国立バレ(Bayerisches Staatsballett)の拠点で、ドイツを代表する歌劇場の一つ。

過去、ブルーノ・ワルター、ハンス・クナッパーツブッシュ、ゲオルク・ショルティ、ヨーゼフ・回ベルトなどが音楽監督を務めてきた。特に1970年代から80年代にかけてのヴォルフガング・サヴァリッシュ時代は、常連のカルロス・クライバーらとともに全盛期を築き、活発な録音活動や訪日公演などで日本でも広く親しまれました。クライバーはこの管弦楽団に強い信頼を寄せ、しばしばオペラ以外にコンサートを開催。映像や録音も残されています。なお、短期間のフリッチャイ時代を除いては、一貫してドイツ、オーストリア人音楽監督を据え続けてきたが、1998年以降この伝統は絶えています。

 

バイエルン国立歌劇場には公共交通手段でも車でも簡単にアクセスできます。

 

 

MVV公共交通機関 

Sバーン:S1-8マリエンプラッツ (Marienplatz)
Uバーン:U3,6マリエンプラッツ(Marienplatz)、U3-6 オデオンプラッツ(Odeonsplatz) 
バス:52、131マリエンMarienplatz、100 Odeonsplatz 
路面電車:19 ナショナルテアーター(Nationaltheater) 

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